《トンボ帰りで向かった先は→南方熊楠記念館・講演とフィールドワーク体感へ》2015年04月20日 21:03

世界遺産となった熊野の自然、百年以上も前に生態学からエコロジーの概念を提唱し、ネイチャー誌に日本人最多の50編も掲載したのが和歌山が生んだ博物学の南方熊楠。
/その生誕150年を2年後に迎えるにあたり、白浜の記念館での館長講演とフィールドワークがあり東京より参加。/民俗学の創始者として柳田圀男とならぶ熊楠は、人文科学と自然科学の境界をいともかろやかに越え、宇宙万有に描かれた「南方マンダラ」に世界の原理を解く因果律を示した。
…これはまさに天才の域を超え、奇才のエッセンスを伝播して知の巨人は科学哲学の世界を越えて闊歩した…というふうに感じるので…ありマス。

そんな巨人は、お父様が私と同じ和歌山・御坊の人。
御坊で発見された古墳に眠るのが有間皇子であり、その着眼発見を成したのが日本考古学の第一人者・森浩一先生。

その森先生が生涯唯一の賞を受諾したのが南方熊楠賞。
森先生いわく「在野にあって弛まず研究を遂げる姿勢こそ、本来の学者のあるべき姿」と“町人学者”としての熊楠の生き様を尊び熊楠賞の授与を受け入れられました。
/(私は有間皇子墳を顕彰する立場から、森先生の熊楠賞受賞の席に招いて頂き、その瞬間を共にさせて頂いた)
御坊と白浜、有間皇子が政争を逃れた湯治先が白浜、そして熊楠の名が有間皇子に纏わる藤白神社(大楠の木)から命名された等と重ねて由来が繋がること嬉しき符号。

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この紀伊の地がどれだけ豊かに熊楠の研究と科学哲学を育んだか…。
/粘菌学・植物学は、4782枚もの菌類図譜に描かれ、同じ粘菌研究者として熊楠が進講したのが昭和天皇。熊楠没後に偲んでの歌詠みを残されたほど…。

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東大予備門で同級生であった夏目漱石や正岡子規、その時の英語教師が高橋是清との出会いはのちの「南方熊楠研究所」設立の支援に繋がり、アメリカ~ロンドン大学と海外に渡るなか習得した言語は十カ国以上、ロンドン博物館などで筆写した『ロンドン抜書』は一万ページに及ぶ一大資料。
キューバでの採取まで至った海外滞在を終えて、熊楠が最後を賭したのが故郷和歌山。

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那智の森で探究に至った世界の原理を解き明かす因果律の複合体、田辺に拠点を置き生涯を賭した菌類研究。併せてフィールドワークとした“粘菌・淡水産の藻”、この3本を柱に7千点もの収集積。

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熊楠にとって生涯を賭して力を注いだのが、菌類採取の宝庫となった神社を守るべく 神社合祀令反対運動の展開。
全研究時間も捨てて力を注ぎ、9割もの神社が廃止されることは地域歴史文化の破壊と敬神思想をも損ない、道徳観の失墜になると唱えた。その結果、現在の熊野古道の王子社を遺すことができ、紀伊山地や霊場が世界遺産に至る基層に…。(「神島」の保存も実現) 

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熊楠のネイチャー誌最初の掲載が「東洋の星座」。そのミクロからマクロに描かれる熊楠の世界観はまさに森羅万象を無尽蔵に駆け巡る。
『太陽』に連載された「十二支考」は、その名称さえも多言語の呼び名を付し、生態や人間との関わり、信仰伝承の分析にまで至る博覧強記!

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白浜・熊楠記念館に展示されている顕微鏡を覗くと、今も闊達に細胞膜の血流のように蠢く菌糸の様子が伺える。氏曰く、次なる細胞へ生まれ変わる前の仮の姿のごとく…と、弛まぬ生命の源流を表意しているようにも見える一景。

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「知の巨人」は最後の研究課題にと自身の脳を提供(記念館にはその断面写真展示)
全ての学問域を超越して描こうとしたのを称して“民俗学”と成すならば、その基層となったのが、因果律を表した「南方マンダラ」。
 そのなかで説かれていること…「物質にもわからないことがある。心もそうだ。さらには、人が者に働きかけて生じる物事はもっとわからない」と述べ、物だけや、心だけを研究する先に解は無きということと、「心界と物界」の相異と相同を成すことを探究の意を馳せていた。
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貴重な生態系が成すエネルギーをいともたやすく滅却すべきでない…そんな言霊だけでも21世紀にキャッチボールしたいと思う…。

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以上、南方熊楠に触れる地へのトンボ帰り~を記しての東京戻りてのup。
本日のfacebook…ようやく日付を近き復帰にて~、こんな長きをここまで読了の方が独りでもいらっしゃれば心から深謝…^^;)
“大切なコトは日をおいても伝心したい”~の徒然一投です^^*

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【情報】

●講話&フィールドワーク 4月15日
於:南方熊楠記念館(白浜)/2年後の熊楠生誕150年へ向け現在新館整備(寄付公募)
●南方熊楠顕彰館(田辺)/ 生涯をすごした南方熊楠邸に隣接。いずれも見学可。

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